あやかし戦記 永遠の終わり
ブルーローズで祝福を
一人でミツヒデと対峙することになったイヅナは、緊張しながら目の前にいる男性を見ていた。今までとは違い、妖ではなく人間と戦うのだ。悪人であっても命を奪うことはできない。

ここは、ミツヒデが人を妖にするための薬などを研究するための部屋なのだろう。フラスコやビーカーがテーブルの上に並んでいる。そして、壁には今まで妖にしてきた人の絵が並び、その近くに家族の絵があった。ツヤと妻であるアサギの絵はそのままだが、カスミの絵はバツ印が付けられている。

「ここへ来るということは、君は私に妖に変えてほしいのかな?」

怪しげな紫色の液体が入ったフラスコを揺らし、ミツヒデは口を開く。その目には息が詰まってしまいそうなほどの威圧感があったものの、イヅナは訊ねた。

「……どうして、ツヤさんたちや普通に生きている人を妖にしたんですか?そんなことをして、何が楽しいんですか?」

イヅナの頭に蘇るのは、人狼に変えられて自分が知らない間に人を殺めていたニコラス・フェリアーのことだ。彼は生徒に信頼され、愛されている教師だった。だが、その命をイヅナたちが教え子の目の前で奪ってしまったのだ。
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