あやかし戦記 永遠の終わり
番外編一 さようなら
最終決戦が終わって数日、ギルベルトや三大戦闘員は最終決戦の後始末に追われていた。

他の団員たちには長期休暇を順番に取らせているものの、上の人間はそうもいかない。捕らえた妖を人間に戻す薬を開発したり、捕らえた悪魔とミツヒデたちをどうするか話し合う必要があるのだ。

そして、何度目かわからない会議が終わった後、ツヤはギルベルトの屋敷の地下室へと向かう。そこにある牢にミツヒデを閉じ込めてあるのだ。

ツヤの記憶の中で、ミツヒデが父として映ったことは一度もない。ミツヒデはツヤにとっては憎い存在でしかないのだ。

鬼に変えられてしまう前から、ミツヒデとツヤの間にほとんど会話はなかった。ミツヒデの目に映っているのは、いつもアサギだけだったからだ。

「そういえばあの人のこと、「父さん」って呼んだことが一度もないな……」

楽しそうに家族との思い出を話すイヅナたちを思い出し、ツヤはフッと笑いながら階段を降りていく。コツコツと足音が響き、何故かツヤの心に緊張が生まれていくのだ。
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