甘やかし婚   ~失恋当日、極上御曹司に求愛されました~
「……俺がどれだけ沙也を想っているか、ベッドで教えたい」


そう言って、繰り返される執拗なキスに頭が真っ白になった私を横抱きにする。

突然の浮遊感に思わず彼にしがみつく。


「可愛いな」


泣きたくなるくらいの甘い視線から目を逸らせない。

高鳴る鼓動と熱すぎる頬が、これは現実だと私に教える。

寝室のベッドに私をそっと降ろした彼は、羽のようなキスを目元や頬に落とす。

その合間に長い指で私の衣類を取り去っていく。

今では私より私の体を知り尽くした彼が、私の体をあっという間に熱く火照らせる。

首筋を、鎖骨を、胸元を形の良い唇がたどっていく。

落とされるキスのひとつひとつに敏感に反応する。


「……愛してる」


彼の甘い囁きに体と心が甘く身震いする。

これまで幾度となく肌を重ねてきたのに、まるで初めてのときのように緊張してしまう。

刻まれる所有印と深く重ねられた唇に、胸がいっぱいになり涙がこぼれ落ちる。

今までとは違う感覚に戸惑いながらも、彼が与える愛撫を受け入れる。


「俺の、沙也」


独占されるのも、伸ばした手を当たり前のように握り返されるのもなにもかもが嬉しい。

覆いかぶさる彼の重みも、汗の匂いも、触れる指もすべてが私を幸せにする。

彼と繋がった瞬間、体が溶け合うような気がした。

心を通わせて肌を重ねる幸せに、涙が止まらない。

この日の記憶は私の宝物になった。
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