「ちょっと、茉莉」


季節は巡り──冬。


今日は仕事も落ち着いていて、微睡みそうになる思考を振り払うため、コーヒーを淹れに席を立った時。


給湯室に向かおうとしたところを、後ろから梓ちゃんに引き止められた。


ガシッと後ろから腕を掴まれ、転びそうになりながら後ろを向くと険しい顔がこちらを見下ろしている。


「え、ど、どうしたの梓ちゃん……」

「ちょっと来て」


私の質問には答えずに、そう言って顎でクイッと休憩室の方を示す。


休憩室に来い、ってことかな……?

というか梓ちゃん、怒ってる、よね?


ここまであからさまに怒りを向けてくるなんて珍しい。


ズンズンと足取り荒く、休憩室へ進んでいく梓ちゃんに引っ張られながらその理由を考えてみたけど、心当たりがない。


そうしている内に部屋についてしまい、パタン……と扉が閉まる音がやけに大きく響くのを聞きながら、梓ちゃんを見上げた。