本気の恋を、教えてやるよ。



いくら恋人と言えど、発令されてない人事異動を伝えるわけにもいかず、恐らく駒澤くんも今回の全社掲示を見てこの事を知ったはずだ。


そこがちょっとだけ気まずい……なんて思いながら、注文したスムージーを啜ると、梓ちゃんが呆れたような視線で私を見遣った。


「……ほんと、茉莉って時々信じられないくらいポジティブな時あるわよね」

「え、そうかな」

「私が茉莉だったら休職するわ」


そ、そこまで……?


別れてからも、梓ちゃんの慶太に対する評価は相変わらず厳しい。


「二人ともごめーん!お待たせ!」


不機嫌顔の梓ちゃんに、どうしたもんかな……と考えていると、そんな声が聞こえると同時に席に人影が落ちる。


見上げると、走ってきたのか少し息を乱した笑顔の佐川くんと、一緒に同じ速度で来たはずなのに涼しい顔の駒澤くんが居た。


「お疲れ様」

「お疲れ!もう二人とも頼んだの?」



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