角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

「あ、えっと……一応明日言おうと思ってます」


早いうちがいいけど、今日はまだ言葉を考えていないから少し難しい気がする。


「ふーん、分かった。じゃ、明日までキスすんの我慢する」


よ、よかった……。先輩怒ってない。それにちゃんと納得してもらえたみたいっ。


「その代わり。明日、瑠衣からキスして」

「へっ……?!」

「我慢するんだからそれくらいは当然だろ」


うそっ……私から先輩にキス? そんなのっ、無理だよ……。


「それに前、俺の言うことひとつ聞くって約束したよな。覚えてる?」


……っ!! 先輩、ずるいっ……。私は、そういうことのための言うことを聞くって言ったわけじゃないのに。


「……ずるい…ですっ」

「賢いって言ってほしいね」


私の顔を覗き込む先輩は、意地悪っぽく口元をニヤリと緩める。

そのときの先輩は、悪魔みたいな笑顔を浮かべていたんだ──。
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