角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

甘いお菓子の匂いに誘われて


***


「瑠衣、いる?」


それから数日後、平野先輩が私の教室にやって来た。


「きゃ、平野先輩だ」


どこからともなく聞こえた声は、クラスメイトのもの。女の子たちはみんな頬を真っ赤に染めて、まるでアイドルを見るように瞳をうっとりさせる。


うそっ、なんで先輩が……。
だって先輩は、“考えてみて”って時間をくれたのに。


「あ、瑠衣。いた」


私を見つけると、先輩はちょいちょいっと手招きをするから、みんなの視線が私へと向けられる。


うう〜、誰か助けて……!


「瑠衣、呼ばれてるよ」

「うっ……つばきちゃんも一緒に……」


こんな目立つ中、ひとりで行く勇気なんかないよ……と、つばきちゃんの手を握りしめる。


「いってらっしゃーい」


だけど、つばきちゃんは私を差し出す。


ううっ……。こんな中、嫌だなぁ。でも行かなきゃ先輩ずっと待ってるし……。


俯きながら、なるべくクラスメイトと目が合わないように先輩のそばまで向かう。
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