角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

「あれ、どうしたんだろう……」


いつもならすぐに既読が付いて連絡が来るのに。


やっぱり、体調悪いとかかな?

保健室で休んでる?

いやでも……先輩の教室に行ってみた方が……うん。


きゅっと踵を返した私は、階段を駆け降りて、2年生の階へ向かった。


廊下の隅で顔だけをひょっこりと覗かせると、そこは先輩たちだらけで。

おまけにみんな可愛かったり美人な人ばかりで、すごく大人っぽく見える。


「ひ、ひえ〜……」


この中で先輩を探さなくちゃいけないのかな……。

1年である私がここに来ちゃったら目立つだろうし、生意気だって思われちゃうかな。


で、でも……せっかくお菓子持ってきたんだし、私頑張らなくちゃ……!


あまり目立たないように廊下の端っこの方をトボトボ歩いて、ひとクラスずつ確認する。


いない、いない……いない……


2-Dクラスに差し掛かったとき、女の子の人だかりができていて、その中央には──先輩の姿が見えた。
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