もう一度、その声が聞きたかった【完結】
17:限界
勇人の束縛がさらに激しくなった年末。

会社が休みに入ってから
私と彼はずっと一緒にいた。

必然的に体を重ねる回数も増えた。
昼夜問わず求めてくる彼。

体もつらくなりだしたある夜。
私が拒否すると彼の態度が一変する。
私を見る目は冷たく、話しかけられない。

私たちは初めて別々の場所で眠った。

そして、次の朝
運悪く生理が来てしまった。

流産してから生理痛が重くなり
いつもよりイライラも増す。

彼は昨夜から変わらず
私に対して冷たい態度をとる。

私は感情にまかせて
彼に自分の意思をぶつけた。

「勇人、クリスマスから変だよ。
私の話をちゃんと聞いてよ!
元カレの事、黙ってたから怒ってるんだよね?だからこんな…
せっかく東京に戻ったのに
こんな生活息がつまる…」

『なぁ、さくら。
俺たち結婚しようか…』

「えっ?結婚…?」

『このまま会社辞めてこの家に居てよ。
さくらは働かなくていいよ。
俺のために家に居て、俺の帰りを待っててよ。
俺だけと関わっていたら
もう怖いことなんて起きないし安心だよ。
1人で待つのが寂しいなら
早めに子供をつくろうか。
そして子供が産まれたら今より大きな家に引っ越ししようか…。』

「・・・・」

『俺はさくらを愛してる。誰よりも。
一生離さないよ…。』

彼は私を強く抱きしめた。
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