日直当番【完結】
「そうやって、思っていることがあからさまに顔に出てしまう神崎さんはかわいいですよ」

「い、一体どんな顔よ」

「あなたも僕のことが好き」

「!!」

「図星って顔ですね」

「嫌い。大嫌い」

 進藤くんは、私の頬を伝う涙を両手で拭った。進藤くんの大きくて温かい手は、私の両頬に添えられたままだ。

「神崎さんは嘘をつくのが下手ですね」

「自意識過剰」

「なんとでも」

「あんたみたいな変人を好きになるなんて、どうかしてるよ」

「変人で結構。あなたも相当の変わり者ですよ」

 進藤くんの声は始終冷静だ。

「正直に答えてください。僕のこと、どう思ってますか?」

 進藤くんの目は私を捉えて離さない。あまりの近さにドギマギしてしまう。私は遂に観念した。

「す、すき…です」

「僕も、神崎さんが好きです」

 進藤くんは柔らかく微笑んで言った。初めて見る表情に胸のあたりがきゅうっとする。

「こういうときでも余裕ぶっこいてるのムカつく」

「余裕な振りをしているだけです」

 進藤くんは、ずるくて優しい。



 窓から夏の暑い風が私たちの間を吹き抜けていった。

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