日直当番【完結】
 4時間目の授業がようやく終わってみんなが大好きな昼休み。

 終業のチャイムが鳴り終わる前に教室の中はざわめき立つ。

「なぁ神崎どこ行くの?」

 皆川が机にへばりついたまま私の顔を見上げた。

「飲み物買いに行くとこ」

「ついでに俺のも買ってきて」

「いいよ、お金出して。何飲む?」

「ココアで」

「手間賃200円ね」

「高ぇよ」

 皆川憲人(みなかわのりと)と仲良くなったのは隣の席になってからだ。それまではあまり話したことがなくて、チャラいやつだなぁと思っていた。だけど話してみると案外サバサバしてるやつで、すぐに意気投合して仲良くなった。ウマの合ういいやつって感じだ。

「うーん…」

 私は自販機の前で悩んでいた。ミルクティーにしようか、それともレモンティーにしようか…。しばらく悩んでいると、誰かの手が伸びてきて自販機に小銭を入れた。その手の持ち主はにっくき進藤くんだった。

「ちょっと割り込みでしょ!?てか他の自販機開いてんじゃん」

「飲み物くらいでいつまでも悩んでいる神崎さんの方こそ邪魔です。それにこのレモンティーはこの自販機にしかありませんから」

 そう言うと進藤くんはその場から立ち去って行った。自販機に視線を移すとレモンティーのボタンには「売切」という赤い文字が浮かんでいた。私は自動的にミルクティーを買うことになった。
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