日直当番【完結】
 ふんっ。

「そう言えば、この前の中間考査の出来はどうでしたか?」

「え?ああまあ、ボチボチ、かな」

 実は風邪を引いたことを言い訳に、あまり勉強していなかったのだ。案の定、すべてのテストにおいて点数は半分もいかず、順位は中の下だった。

「その口ぶりだと、あまりよくなかったようですね。どうせ風邪を引いたのを言い訳にして、ろくに勉強していなかったのでしょう」

 う、図星。

「その顔は図星ですね」

 私はさっと両手で自分の顔を隠した。私って顔に出やすいの?

 ちらりと指の隙間から進藤くんの顔を盗み見た。

ドキ。

進藤くんは頬杖をつき、口元に薄く笑みを浮かべながら私に視線を向けていた。てかなんだよ「ドキ」って。私は両手を顔から離した。

「どうせ進藤くんはまた1位だったんでしょ」

 「ええ」と余裕の表情だ。

 本当は、進藤くんが1位だということも、その点数までも知っている。中間考査が終わったあと、当然、私の名前は載っていないと分かっていたけど、廊下に張り出された順位表を見に行ったのだ。

『1位 進藤弥也 796点』

 バケモノかおまえは。2位の小坂さんとの差は17点だった。

進藤くんに構わないようにしよう。私は進藤くんから目を逸らして机の中を覗いた。
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