日直当番【完結】
「日誌書いてなかったですね。その胸ポケットのペン借りていいですか」

「あ、これは…ダメ」

「?」

「てか、私が日誌書くから、進藤くん脚立返しに行ってきて。あと蛍光灯も捨ててきて」

「そうですか」

 進藤くんに脚立と割れた蛍光灯を託して、私は日誌を書いて先生に提出した。これでようやく日直の仕事から解放される。

 部活の室内練習も既に終わっているようなので、私は家に帰ることにした。スクールバッグに荷物を詰める。

ピカッと雷が鳴った。

「ひゃっ」

 バサバサっと手に持っていた教科書類を落としてしまった。

「雷様にへそをとられるって迷信、信じてるんですか?」

「信じてないよそんなの。子どもじゃないんだから」

 とてもひとりじゃ怖くて帰れない…。今更進藤くんに一緒に帰ってとか言えない…。

「……一緒に帰りませんか?」

「はぃい??」

 進藤くんは突然切り出したのにびっくりして声が裏返った。

「僕、すごく目が悪いんですよ。ただでさえ視界の悪いこの雨の中をひとりで帰ったら危ないじゃないですか」

「べ、別に…いいけど。まぁ、こうなったのは私のせいだし」

「眼鏡の代償です」

 これって進藤くんなりの気遣いなのかな?

私の気持ちを察したのか?

なんでこういうところでそれとなく優しいんだ。

なんか変な気分。

なんていうか……もやもやと心の中が…そう、もやもやと。
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