ゆるふわな君の好きなひと
君の告白

 六時間目の数学の授業の終わり。数学担当の佐藤先生が、教卓の上でおもむろにノートを開いた。


「今から、まだ問題集の提出がない奴の名前呼ぶぞー。井上ー、坂本ー、橋本ー、由利ー。この四人は、今日の放課後までに俺のところに提出をしにくるように」

「あ、やばっ。忘れてた。今、出していい?」

 佐藤先生に呼ばれた生徒のうちのひとり、坂本くんが机の中から問題集を引っ張り出して立ち上がった。

 それにつられて、井上さんと橋本くんも、バタバタと席から立ち上がる。

 未提出だった四人のうち三人から問題集を受け取った佐藤先生は、ペンでノートに何かチェックすると由利くんに視線を向けた。


「由利ー、お前は出せるか?」

 佐藤先生の視線の先で、由利くんは机に伏せたまま寝ている。


「おーい、由利ー」

 佐藤先生が大きな声で呼びかけても、由利くんは無反応。


「由利ー! 起きろー」

 後ろの席の子が見かねて背中を突っつくと、由利くんは、がばっと頭を起こして、寝ぼけた様子で周囲を見回していた。

 後ろの席からでも、由利くんの薄茶の頭が揺れているのが見える。


「由利、俺の話を聞いてたか?」

「何ですか?」

 佐藤先生に返す由利くんの声は少し掠れていて。完全に寝起きの声だ。

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