「この先に、何があったとしても、受け入れられないのだとしても、乙女に真実を見られたからには、俺は説明するしかない」
「レイ様……。どうしたのですか?」

 確かに、エレナは乙女に違いない。
 誰ともお付き合いしたことはない。だって、付き合ってしまったら、この髪と瞳をその人の前にさらけ出さなければいけないから。

 そんな勇気、エレナはまだ持つことができなかった。 

「……だますように、ここに連れてきたことを謝罪する」
「……レイ様?」

 その瞬間、エレナよりはるかに高い背丈だったはずのレイは、小さく縮んだ。
 息をのむエレナから、その黄金の瞳は、目を離すことがない。

「あ……」
「命を助けてくれて、ありがとう。エレナ」

 エレナの目の前には、あの時助けた、銀色の犬がいた。

「あ……銀色の犬」

 室内に、言いようもない沈黙の時間が流れた。
 誰が見てもわかってしまうほどに、体を震わせた銀色の犬が叫ぶ。

「は? 君の眼は節穴か?! 俺は狼だ、犬じゃない!!」

(狼? 犬? どちらにしても、最高のモフモフに違いないですけど?!)

 エレナは、自分の欲求に抗うこともできないまま、そのモフモフの首筋に思わず抱き着いていた。