すると、同時にその姿を、他の誰かに見られるのが、レイにとって耐えられないことのように思えてきた。

「……いや、そろそろ終わりにするか。エレナ嬢、満足してもらえただろうか?」
「最高でした!」
「そうか」

 レイが笑うと、今日も犬歯が牙のように見えた。それを見た途端、あのモフモフの感触が隣にあったことを思い出して、エレナの胸は激しく高鳴る。

(あれっ? 趣味嗜好、性癖まで、最高相性?)

 急に、予言師の言葉がエレナの脳裏をよぎる。

 モフモフとした、毛並み。
 誰よりも美しく強い魔法。
 闇夜の月の光のような銀髪、そして月そのものの金の瞳。

『あなた、モフモフ好きですものねぇ』

 もちろん、モフモフを除いた、レイ・ハルトは、完璧だけれど。たぶん、モフモフを含めても、理想そのものと言えるのは、少数派だろう。

(えっ、そういうことなの?)

 それでも、エレナに受け入れてもらえないと、死んでしまうという部分だけは、納得がいかなかった。

 だって、どう考えても、受け入れるかどうかの決定権があるのは、レイであり、エレナではないのだから。