無理、俺にして
たかが幼なじみ
*ゆめside*

「……っ」


さっき買ったスポドリを頬に当てて
必死に顔の熱を冷まそうとするけど。

なかなか熱は引いてくれない。

それもそのはず。

折原くんで頭がいっぱいなんだ。赤くなるなって言う方が、無理。


だって、折原くんの匂いがする。

私は今、折原くんの匂いに包まれている。


「……すう~……」


誰もいないのをいいことに、私は今自分が身につけているTシャツに鼻をくっつけて思い切り吸い込んだ。
とんでもない変態だ。わかってる。

でも好きなんだよ、止められないんだよ。


いつもとは違う雰囲気、折原くんの匂い、そういうの全部が私の思考をおかしくさせる。


「……えへへ」


油断しているとつい上がってしまう口角のことも自覚しているけど、
そろそろ戻らないとふみちゃんも心配するよね。

私とふみちゃんが出る予定の借り物競走の時間も迫ってきてる。


少し乱れた髪を手で軽く整えて、青いハチマキを結び直す。

そしてスポドリをごくんと一口飲んでから、ふみちゃんの元へ戻った。

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