幼なじみの一途な狂愛
デート
「ん……」
梨々香が目を覚ます。

「…………あ、乙哉。
━━━━━乙哉!!!?」
乙哉が、ベッド脇に顔を伏せて眠っていた。

「乙哉!!起きて!!」
「ん……んぁ…?」
「こんなとこで……風邪引くじゃん!?」
「あ、梨々の寝顔が可愛くて見てたら、そのまま寝ちゃった……!」

「寝ちゃった…じゃないわよ!!
大丈夫?風邪引いてない?」

「大丈………夫…じゃない!!
梨々ー!抱き締めて、温めて~!!」
ベッドに上がり、梨々香を足の間に挟んで、のし掛かるように抱きつく乙哉。

「ちょっ…////!!?乙哉////!」
ゆっくり乙哉の背中に手を回し、頭を撫でた。

「ん…気持ちいい……」
乙哉は気持ち良さそうに、更に梨々香に擦り寄せた。

「そ、そう?」
「うん…」
「なんか不思議……」
「ん?」

「いつもは私が乙哉に甘えてたでしょ?
なのに、今は乙哉が私に甘えてる」

「フフ…確かに…!」

腕を離し、梨々香に向き直った乙哉。

「デート、行こ?」
微笑み、言った。


「いただきます!」
「どうぞー!」
「…………旨っ!!乙哉、美味しい~」
「そう?良かった!」
乙哉が朝食を作り、二人で食べる。

「ほんっと、何でもできるよねー!乙哉って!」

「まぁな。出来ないことはないかも?
俺、何でもできるし(笑)」

「あー、自分で言う(笑)?
なんか、ムカつくぅー(笑)」
頬を膨らませる、梨々香。

「フフ…可愛い~梨々!」
乙哉は、その梨々香の頬を突っついた。


「乙哉、片付けくらいさせて?」
「やだー!」
「なんで?」

「今は“まだ”梨々は、幼なじみだから」

「え?」
「梨々が本気で俺を好きになって“恋人”になれたら、一緒にしよ?」
「うん…わかった」


デートの前に、一度家に帰り着替えたいと言った梨々香。
乙哉と梨々香は、梨々香のアパートに来ていた。

ワンルームの小さな部屋。

「狭いでしょ(笑)?」

「まぁ…でも、なんか温かい……!」
「え?温かい?」
「うん。
梨々の匂いがして、幸せ。
梨々の優しさとか、穏やかさがそのままここにあって、落ち着く…!」

「そう?
私は乙哉のマンションみたいな広ーい家、住んでみたいなぁ~」


「じゃあ……一緒住む?」

「はい?」

「俺は、大歓迎だよ!
部屋も余ってるし!」

カーペットに胡座をかいて座っていた、乙哉。

梨々香を見上げて、微笑んでいた。
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