幼なじみの一途な狂愛
告白
梨々香にとって、初めての彼。

彼に振られた日。
最後に言われた。

“梨々香は、いつも誰を見てるの?
俺の中に、誰を見てる?”

“俺は、梨々香が見えない”と━━━━━


「梨々?」
「え……?乙哉…」

「また泣いてる……!
泣くんなら、俺のとこに来いよ。
付き合ってなくても、泣き場所くらいなっていいだろ?」

乙哉が両手を広げた。

「ほら、おいで?」

梨々香の手から、ペットボトルが落ちる。

そして、梨々香は━━━━━乙哉の胸に飛び込んだ。



あぁ、そうか…………

私は最初から“乙哉しか”見えていなかった。

だからいつも、乙哉を頼り、乙哉に守られることに安心感を得ていた。


乙哉が、梨々香の頭をゆっくり撫でる。


私は乙哉の頭を撫でる、この手が大好きだ。

ずっと………この大きな手を、探していた。




私は、乙哉が好きなんだ━━━━━━━━━





「ねぇ、乙哉」
「んー?」
「ワガママ言っていい?」

「フフ…いいよ!何?」

「夜更かし、付き合って!」
乙哉の胸に埋めていた顔を上げ、微笑んで言った梨々香。

「プッ…!!!それが、ワガママ(笑)?」
乙哉は噴き出して笑う。

「え?おかしい?」
「うん!だって、ワガママじゃねぇし(笑)」
「え?じゃあ……
ワガママってどんなの?
…………あ!アイス買ってこいとか?」

「なんだ、それ(笑)」

「へ?これも、おかしい?」

「それは!ワガママじゃなくて、パシりじゃん!」

「あ、そっか!
……………うーん。わかんない!」

「フフ…梨々、可愛い~
益々好きになる!
もう、やめてくんない?
これ以上好きになったら、俺……どうにかなりそう!」

乙哉は、今度は梨々香の頭をくしゃくしゃと撫でた。


昔の話に花が咲き、話が尽きない。
リビングダイニングに、二人の笑い声が響いていた。

「あ、外。明るくね?」
「あーほんとだぁー!
ごめん、夜更かしどころか……徹夜させちゃったね……!」

「別に!今日、休みだし!」

「なんか、眠いね…」
「寝る?」
「乙哉は?」
「俺は別に、寝なくても平気だから」
「そうなの?」
「うん」
「じゃあ、私は少し寝るね!」

梨々香は自分の部屋に向かうのだった。


コトンと眠った梨々香。
夢を見た。

『梨々~』
乙哉がいた。

『梨々、教科書貸してー』
『梨々、何食べる?』
『梨々~』
『梨々!!』
『梨々……』

乙哉の満面の笑み、頭を撫でる大きな手、優しくて心地いい声………


『梨々。
これから、お互い頑張ろうな!
じゃあ…バイバイ……梨々』


「━━━っあ!嫌!!!
……………はぁはぁ…ゆ、夢…か……」
< 27 / 42 >

この作品をシェア

pagetop