慶ちゃんが抱いてくれない!
命日 ~慶次side~




俺達は6時間目が終わるチャイムのタイミングで教室に戻ると、6時間目の数学の教師とすれ違ったが、特に何も言ってくることなく行ってしまった。




南條が得意気に俺達に手を振った。





先生に上手く言ってくれたのか、魔力を使ったのかはわからないけど問題なさそうだ。




すると、真穂が南條のところに駆け寄った。




「南條さん、色々ありがとうっ!さっきふわふわしてて記憶がところどころ曖昧なんだけど南條さんも魔……あっ!ね?……そうだったなんて!もっと早く教えてくれればよかったのにー」

「言わないつもりだったんだけどねぇ」

「ね!ね!南條さんともっと仲良くしたいなぁ」



真穂は目をキラキラさせて南條に迫っていた。
中学の時俺と仲良くしてた事で仲良くしていた女友達のグループでいざこざがあって以来、真穂は友達を作る事を避けていたから南條にあぁやって迫るのは珍しい。



真穂が孤立しないように俺が離れようとした事もあったが、離れるわけがなく俺が一緒にいる形になっている。




あまり気にした事はなかったけど南條も女子とつるんだりしてるところは見た事ないし、多分断られるんだろうな。




「いいよ、仲良くしよっか」



え?ついこの前魔女同士で仲良くするつもりないとか言ってたくせに言ってる事違うじゃねぇか!



「やったー!あのね、今日の放課後慶ちゃんとお買い物行くんだけど南條さんも放課後時間あったら一緒に行かない?」

「えっ……」



真穂の突然の提案に俺はつい声を上げていた。



うわ……やばい。真穂と二人じゃないのか?と思ったらつい声が出てしまった。
さっきキスしたせいか俺の真穂に対する独占欲強くなってないか?



「え?あ……南條さんもお買い物に付き合わせたら迷惑かな」

「私は買い物付き合うのは全然良いけど?でも……和泉君と二人だけのデートのお邪魔にならないかな?」



南條はニヤニヤしながら俺の方を見て来る。



「そんな事ないよー!慶ちゃんとは家もお隣り同士だからいつでも二人で出掛けられるもん!」

「花沢さんが良くても和泉君はどうかな~?」

「お、俺だって……っつーか、真穂とは幼馴染みってだけで付き合ってないしな」



そうだ。俺と真穂は付き合ってない。
付き合ってすらいないのに何考えてるんだ……



「そう?それじゃあ一緒に行こうかな」

「やったー!」




そして、放課後。




「えーっ!南條さんのお母さん324歳まで生きてたの!?」

「うん、結構勘違いされるけど30歳も300歳もあくまでも寿命ってだけだからその年になった瞬間に死ぬわけじゃないのよ」

「じゃあさ!南條さんのお母さんが寿命より24歳も長く生きてたって事は60歳くらいまで生きれる可能性もあるって事かな!?」

「それはないかも。私の祖母が生前にもう何百年も前に海外の何処かで魔女が多く集まってた村に住んでた事があるんだけど、魔力を持たない魔女で40歳まで生きた魔女はいなかったって。世界の何処かには40歳越えたって人はいるかもしれないけど可能性は低いと思う」

「そっかー!どうしよう!たくさん聞きたい事あるっ!」

「私が分かる事なら何でも教えるよ」



魔女トークでめちゃくちゃ盛り上がってるじゃねぇか!
南條め!俺に言ってた事撤回しろ!




まぁ、真穂が楽しそうにしてるから良いけど……




南條の話を興味のない振りをしながらしっかり聞いておいた。
魔女の問題は真穂の一生に関わる事だしちゃんと知っておきたい。




二人が話しながら駅前の雑貨屋に着いた。




「買う物は目星ついてるの?」

「うんっ!お仏壇にお供えする用の花瓶今使ってるの古くて欠けちゃってるから花瓶にしようかなって」

「へぇ、そっか。両親他界したのもう200年以上も前だし、お墓も、もうなくなっちゃってるからそんな事考えた事なかったな……でもそれいいね!両親の絵が1枚残ってるからちゃんと額入れて私もお花飾ってあげよう。私も一緒に花瓶買うわ」

「うんうん!そうしよ!どれが良いかな?」



いつもならこういう時俺に意見求めてくるから少し寂しい気もするが……邪魔しないでおこう。



そう思いつつ、二人から少し離れて種類のある花瓶を見ていると薄いピンクの桜の花の柄が散りばめられた花瓶が目についてそれを手に取った。



勝手なイメージだけど真穂のお母さんってこういうのが似合うイメージあったな。



「あー!慶ちゃん持ってる花瓶いいなぁ」

「いや……桜じゃ季節違うし、何となく見てただけだから」

「えー!でもそれお母さんに合いそうなイメージだよ?それにする!」

「私もそれ良いと思う、すごく綺麗な色だし」

「ね!南條さんも同じのにしようよ!」

「そうね、私もそれにするわ」



二人が会計を済ませるのを外で待っていると真穂が先に出て来た。



「良い感じの見つかってよかったー!付き合ってくれてありがとねっ」

「あぁ……」

「はっ!慶ちゃん見てっ!あれ可愛い!」



真穂は向かい側の店のショーウインドウに反応して俺の手を一瞬クイっと引っ張って向かい側の店に吸い寄せられるように向かった。



いつもの事だけど……



なんだか無性に真穂に一瞬触られた手が気になってショーウィンドウに夢中の真穂の手に向かって手を伸ばしていた。




「二人共何見てるの?」



ハッ……



南條の声にハッとして真穂の手を握ろうとしていた手を急いで引っ込めた。





うわ……南條がいなかったら手繋いでたかもしれない。




なんだ?キスしたせいなのか?
今までは真穂に触れたいと思ったとしても手は出なかったのに……




「なんか、すごい可愛いって思ってよく見たらワンちゃんのお洋服のお店だったー」

「そっかぁ……そうだ、何か喉乾いちゃったしそこのカフェでも行かない?花沢さん好きそうな可愛い感じの」

「行きたいっ!でも、あそこちょっと高めだからなぁ」



南條が言ってるカフェは女子が好きそうなブランドが運営しているカフェで真穂が前から行ってみたいと言っていたが、ドリンク1杯千円する値段帯で高校生が気軽に入れるカフェではなかった。


しかもこの前スイーツビュッフェも行ってるから俺も真穂も今月はまぁまぁ金がない。


「もちろん二人共私がご馳走するから安心して」

「いや、女子に奢ってもらうのは……」

「はぁ?和泉君格好つけたいのはわかるけど……何歳年上だと思ってんの?年上の厚意には甘えなさい!将来二人が稼ぐようになったら返してもらうからいいの。ほら、行こ」

「嬉しいけど本当にいいのー?」

「いいの、私も行ってみたかったけど一人じゃ入りにくかったし」



結局南條は夕飯まで奢ってくれて、この日はそれなりに楽しんでしまった。


< 33 / 132 >

この作品をシェア

pagetop