唯くん、大丈夫?
肉じゃがを食べ損ねた委員長が白い目で唯くんを見た。


「独占欲つよ…」

「言ってる意味がわかんねーな」


唯くんは口端についた肉じゃがの欠片を親指で拭ってペロッと食べた。

私は唯くんのはむっ、とモグモグに加えて親指ペロッを目の当たりにしてドキドキがおさまらない。

唯くんは高田くんのイスに座って売店で買ったらしい袋を私に見せた。


「トマトチキンバーガーとポテサラクロワッサン。どう?」


どうやら昼休みと同時にダッシュしてゲットしてきたらしい唯くん。

3つとも売店ですぐ売り切れてしまう人気商品だ。

私の喉がゴクリと鳴って、唯くんの口角が上がる。


「はい。こーかん」


ガサリと袋が机に置かれ、唯くんの元に行った私のお弁当は唯くんに見つめられて恥ずかしそうにしている。


「羽根村さん。いいの?」


委員長が放心状態の私に聞く。


「…良い。とても良い」

「…そうですか」


委員長が「付き合ってられんわ」とぼやくのを聞きながら、
私のお弁当を食べようとする唯くんの姿をバシャバシャと激写する。

唯くんが私のお弁当を食べる姿が2度も見られる世界線…!

ありがとう!ありがとう!

早速唯くんが一口目を口に運ぼうとした時だった。


「くーーーじょぉ!」

「!」
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