唯くん、大丈夫?
「……唯くん」
もう見たくないのに、唯くんのうなじから目が離せない。
「好きな人、いる…?」
私の問いかけに、唯くんは振り向かないまま答える。
「………いる」
「…はは。」
自分で聞いといてショック受けるなんて
バカみたい。
「そっか。」
「…優花は?」
「え?」
「好きな人いる?」
「…」
その甘く優しい声にまた胸が高鳴ってしまって、乾いた笑いが漏れる。
「…いるよ。」
もう、嫌になるよ。
「…ふーん」
唯くんはそれだけ言って、またお酒を口に含んだ。
「…」
私は唯くんの背中から、ゆっくりと手を離した。