ずっと探していた人は
「これも遅くなっちゃったけど……、前、先輩たちからの嫌がらせから守ってくれた時の、お礼」

これも今更で申し訳ないんだけど、と付け加えると、大橋くんは「ああ」とうなずく。

「あれば俺が勝手にやったことだから、気にしないでって、前も言ったのに」

気を遣わせるためにやったんじゃないよ、と大橋くんが、もう一度念押しする。

「わかってる、それでもね、私守ってもらえて本当に嬉しかったの。だから、何かお返ししたくて。せっかくだから、喜んで受け取ってよ!」

一方的にプレゼントを渡しておいて喜べというのは、自分で言っておきながら少し無茶な気もする。

けれど大橋くんは、「それじゃあ、わかった。嬉しい。ありがとう」と笑った。

「じゃあ行くね」

「うん、ばいばい」

マカロン、美味しかったらいいな。喜んでくれたらいいな。

グラウンドへ戻る大橋くんの背中に、私は手を振った。
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