ずっと探していた人は
「告白、されてんだろ?」

むしゃむしゃパンを食べながら徹が尋ねる。

「迷ってる」

少しの沈黙の後、大橋くんは絞り出すように声を出した。

「かーれんっ」

小さな大橋くんの声にかぶせるかのように、声が教室中に響き渡る。

「涼くん」

私はお箸をお弁当の上において、入り口へ向かう。

「今日、仕事お休みだったっけ?」

「うん、お休みだって昨日言ったよ?」

いつも通りの爽やかな笑顔で、涼くんが言う。

「はい、これ」

「なに?」

小さな紙包みを開けると、かわいいリップクリームが入っていた。

「これ! どこにも売っていなかったのに!」
< 123 / 155 >

この作品をシェア

pagetop