ずっと探していた人は
今までも、これからも、
9月になり二学期が始まった。

9月といえば「秋」の訪れを感じそうな時期なのに、まだまだ暑さを含む風が、私の髪の毛を揺らす。

「加恋!」

校門をくぐろうとしたとき、その呼び声にハッと振り返る。

「涼くん!!」

私の後ろには、本当に久々の、涼くんの姿があった。

「久しぶりだね」

涼くんは映画の撮影で夏休みのほとんどを違う地域で過ごしていたこともあり、結局私たちは夏休み中一度も会えずにいた。

「なかなか連絡もできなくてごめん」涼くんからの謝罪の言葉を私は打ち消すかのように言う。

「仕事頑張っているんでしょ? 仕方がないよ」

「そうなんだけどさ」

申し訳なさそうな涼くんを見ていると、夏休み中あまり連絡をもらえなかったことも許してしまう。

「今日は学校、1日いるの?」

「ううん、午後最初の授業を受けたら帰るよ」

それぞれが靴箱で上履きに履き替え、また合流して私の教室の方向へ向かう。

「この前話した泉監督の映画、とりあえず自分のシーンはほとんど撮影終了したんだ」

「そうなんだ! お疲れ様でした」

ぺこりと頭を下げると、涼くんが笑った。

「ありがとう。これでやっと、少し落ち着くかな」

疲れたそぶりを涼くんは見せたけれど、目は輝いていて、撮影がとても楽しくて充実していたことを物語っていた。

「これからはもっと連絡とれるし、遊びにも行けるから。長い間、寂しい思いさせちゃって、ごめんね」

「ううん、大丈夫」

“またこれからは、離れていた分の時間と距離を埋めることができる”

そう思うと、待っていてよかったなと本当に思う。

< 48 / 155 >

この作品をシェア

pagetop