調べてみると、ゾンビはアフリカやカリブ出身で、吸血鬼は神話出身らしい。

だから大橋くんは、フォーマルな格好のようだ。

「なんか、スーツを着ると、大橋も大人びて見えるな」

感心したように中川くんがつぶやくと、由夢もコクコクとうなずく。

「うん、大橋くん、かっこいいよ」

思わぬところで褒められて戸惑ったのか、大橋くんは少し照れながら、ありがとう、と返した。

「なあ、俺は? かっこいい??」

大橋くんの隣で、目立とうと徹がぴょこぴょこ飛び跳ねる。

「徹は……」私の喋り出しを合図にするかのように、中川くんと由夢と3人で同時に応えた。

「「「もっと幼く見える……」」」

3人の言葉を待っていたかのように、徹はふざけてガグッと崩れ落ちる。

その大げさな様子に、私たちは大笑いした。


お化け屋敷は他にも3クラスがやっていたので、お客さんが来てくれるか少し不安だったけれど、さすが文化祭の定番中の定番の出し物。

お昼前になると、1時間待ちとなる大盛況で、受付を担当していた由夢と私も、かなりバタバタと働いていた。

「はい、次の方たち、どうぞ」

出口から1組出てきたのを確認すると同時に、次の組を中に入るよう案内する。

ドアを開けるたびにお客さんたちの悲鳴が聞こえてきて、結構楽しんでもらえているのかなと思うと、なんだか嬉しかった。


「「「「「ぎゃーっっっ!!」」」」」

出口からまたお客さんが出てきたのを確認し、次の組を案内しようとしたところ、周囲から悲鳴が聞こえる。

「ちょっと、びっくりした!!」

隣で私の腕に抱き着きつつ大声を出す由夢に私まで驚きつつ、驚いているみんなの視線をたどる。

すると出口のドアの前に、吸血鬼に扮した大橋くんが立っていた。