オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜
気になる存在 SIDE 椎名 響
 朝から給湯室では、聞きたくもない会話が繰り広げられている。今年の新入社員は、近年稀にみる大外れだ。俺は基本人事には口を出さないが、一言文句を言わせてもらったくらいだ。

 話の的の観月柚は、昨年の新入社員でまだまだ若い。今年の新入社員と一年しか変わらないのだが、仕事に対しての姿勢も、人に対する態度もこいつらとは雲泥の差だ。

 俺は、社内でも恐れられる存在だ。それは、敢えてそうしている。本来、会社は仕事をしにくる所であって、人の悪口を言ったり(おとし)めようとする場所ではない。

 俺がこの会社に就職し、今の地位に付くまでにはかなりの努力をしてきた。小さい頃から憧れていたこの業界。両親が仕事で忙しく兄と留守番をする事が多かった俺は、いつからかテレビの番組ではなく、テレビCMを楽しむようになった。たった15秒や30秒の中に壮大なドラマやメッセージがあると子供ながらに思ったのだ。

 楽しみから憧れへ、そしていつしか自分が制作側になりたいと思うようになった。



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