協道結婚
【1】出逢いは犯罪と共に
7月1日、午前3時。
関東地方に震度4の地震発生。

まぁ、特に被害は無かったのだけれど、これが私の人生を大きくかえるとは、思いもしなかった。

…ほんの少しだけ、言い直す。

思いもしなかった…と言うより、羊さんのモフモフの夢にしがみついて、ぐっすり寝ていた私は、地震にすら気付いていなかった。

2階建ての小さなアパートの角部屋。
安いには、それ相応の理由がある。

すぐそばに踏み切り。
その割に駅は、足で、ん〜15分。
かなり、いや、結構頑張って走って15分。

三流大学を卒業し、親の反対を振り切って出てきた新社会人だから仕方ない。

ふと、いつもと違う踏切音の長さに違和感を感じた。

ベッド脇の目覚まし君⏰に手を伸ばす。

が、目覚まし君はご不在。

(ん?あれ?おかしいな…)

とりあえずは起き上がり、

「フワぁ〜っ!」

と背伸びして床を見ると、目覚まし君が逆立ちしていた。

何とも言えない不安感。
慌てて目覚まし君を拾う。

「7:35ふ〜ん❗️」

逆立ちなんかしたもんだから、頭のアラーム停止ボタンが押されていた。

「何してくれてんのよ〜っ!!」

と責められても、不可抗力である。

「ムリ!ムリムリ!ムリ〜っ!」

かなり…いや、結構走って15分。
電車乗り継いで🚃早くて45分。

8:30の朝礼。

喚きながらも、超特急で支度し、全力疾走。
途中にある高校のグランドでは、野球部⚾️の朝練が終わり、円陣組んで「ファイトー!」

「イッパーツ!」
なんて、やってる場合じゃない。

パワハラ部長の顔が思い浮かんだ。

それが運命とは、今から思っても何とも複雑な心境である。


< 1 / 26 >

この作品をシェア

pagetop