協道結婚
【7】ご終章さま
とある大安吉日の日曜日。

「あ〜どうしよう。緊張してきた」

「大丈夫ですよ、静華。いつも通り、普通でいいのです。緊張なんて必要ありません」

向かい席から、優しく微笑む誠。

「私も、緊張なんてしないと思ってたのよ」

マンションから、二人が表に出ると、真っ白で長〜い高級車が、デンッ!と待ち構えていた。

「だいたいねぇ。これのどこが普通なのよ!」

「…まぁ、確かにちょっとね…」

「これのどこがちょっとよ!白鯨でも来たかと思ったわよ。マンションの方たちも驚いてたじゃない。信号で止まる度に写メ撮られてるし〜ほら」

珍しさに、スマホで写真を撮る人たち。
手を振る子供までいる始末。

「し…静華さん。手を振っても向こうからは見えてませんよ」

「えっ、そうなの。早く言ってよ〜」

笑いを堪えているのか分かる。

「笑ったら締め上げるわよ!」

「そうそう、その調子。いつも通りで」


お互いの愛を確かめ合った次の日。
誠は、父の重蔵に会い、結婚を打ち明けた。

今日は、重蔵が指定したものであった。

白鯨が岩崎重蔵の邸宅に着く。

(こ…ここが家?)

静華が驚くのも無理はない。
長い白壁の途中に大きな門があり、中へ入ると、観光地並みに広くて美しい日本庭園。

運転手がハンズフリーで電話をかける。

「えっ?そちら…ですか。わかりました」

「どうかしたの?」

「さぁ?なんでしょうね」

話してるうちに、豪邸が現れた。

(げっ!マジですか〜💦)

驚きを通り越して、呆れ返っていた。

が、車は豪邸には停まらず、その奥のこれまた大きな和風の建物の前で停まった。

車を降りる。
白鯨が海に帰って行く。

「ようこそ、さぁこちらへ」

履物を脱いで、案内人に続く。
軋む木の音が心地よい。

すると、何やら声が聞こえてきた。

「んっ?」(誠)
「えっ?」(静華)

「お連れしました」

案内人が大声で告げる。
すると、中から

「おう!入れ❗️」と重蔵の声。

案内人が扉を開ける。

二人の目が点になる。

「お父さん❗️❗️」(誠&静華)🎉
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