Mazzo d'amore
カミカゼ(あなたを救う)
相葉京香20歳。東京に来て色々な仕事をやってみた。

お弁当屋、スーパー、定食屋、居酒屋。

車の免許を取ってからは昼はトラックに乗り、お酒が飲める年齢になってから夜はラウンジで働き出した。

そして働いてくうちに将来自分のお店を持ちたいと思うようになってきた。

(お店を持つならお酒のお店が楽しいかな)

なんとなくだが漠然とした夢も徐々に見えてきた。

お金もコツコツ貯め300万まで貯まった。

ある日、取引先の建築会社へ行くと元気なお兄さんに声をかけられた。

ちなみにそのお兄さんはロン毛だけどロン毛が似合わない。

身長もそんなに大きくなくて女の私とたいして変わらない。

けど、愛嬌があっていつも私だけでなく色々な人に元気よく挨拶している。

「ねえねえ!若い女性なのにトラック乗りとか珍しいね」

「これ以外にも色々やってるんですよ」

「へぇ、何やってるの?」

「夜はラウンジで働いてます、良かったら来てください」

そう言って名刺を渡した。

「………ぼったくらない?」

「大丈夫ぼったくらない」

割と失礼だなと思って真顔で答えた。

私はその日の晩、先輩に聞いた。

「キャバクラとラウンジって何が違うんですか?」

「目配りや気配りと細々するのがキャバクラでラウンジはそんなの気にしないで良いって感じかな」

「へぇ…よくわからないです」

するとお店のドアが開く音が聞こえた。

「京香さん指名です」

「いらっしゃいませ」

「うす!」

「あ!本当に来てくれたんだ」

「うん、こう言うお店初めてだから優しくしてね」

「………プレイはないわよ」

「知ってるよ、一度言ってみたかったセリフなんだよ」

「あ、そう言うジョーク言えるんですね」

そう言ってニカっと白い歯を見せて笑った。

昼間の建築会社の男性は濱谷光太郎(はまたにこうたろう)さん。

歳は私よりも4才ほど年上の24才だった。
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