Mazzo d'amore
ブルドッグ(あなたを守りたい)
カランコロン

本日もMazzo d'amore(マッツォダモーレ)の扉が開いた。

お客様の来店だ。

「いらっしゃいませ」

本日お越しは二人の会社員の男性。

お二人の年齢は50歳ぐらいでしょうか。

一人はドングリみたいな見た目の人。

もう一人はパッと見チャラそう。

チャラそうなので見た目と年齢を凄い気にしてる人かなと思ってしまった。

年齢を聞かれた時に実年齢を当てられる事よりも若く言われる事を喜ぶ人かなと思った。

「おお!めっちゃ美人で当たりだなこのお店」

興奮するドングリに

「俺の勘は良く当たるって言ったろ?」

そう言いながら前髪を息で吹き上げるチャラ男。

「どうぞおかけください」

そう言って席を案内し、おしぼりを差し出した。

「ジントニック」

「コークハイ」

「かしこまりました」

私はドリンクをサッと作りお客様へ差し出した。

「お姉さんさ、俺たちの顔一度は見た事ない?」

「ないだろぅー、ないよねー?」

そう二人に尋ねられて考える考える。

『覚えてない?』なら一度何処かで会った事がある人が使うフレーズだから『見た事ない?』はそれには該当しないはず。

「あの……もしかして芸能人か何かでいらっしゃいますか?」

「え!そうそう!元なんだけど知ってるの?」

「うそ!嬉しいなぁ!」

「あ、いや、二人共凄い端正な顔立ちでトークも上手なのでそうなのかなぁと思っただけで……すみません、私芸能界に疎くて…」

「なんだぁ!」

するとチャラ男が自分の過去を喋り出してきた。

「やっぱり知らないよねー。これでもお笑い芸人やっててさ養成所時代には1番になった事もあるんだぜ」

「さすがですね!凄い言葉が軽快なので納得します」

「デビュー1年目もさ、天才天才って周りから囃し立てられてたんだぜ。あのニューオールドって大物芸能人も俺らの事認めてたんだぜ知らなかったろ?」

「知らなかったです。凄いですね!」

「2年目になるとさM1グランプリも3回戦までいけたし、賞レースも入賞はしなかったけど惜しい所までは何度もあって、俺がネタを書いてたんだけど天才だってみんな言ってくれてたの」

「センスあるんですね。脚本や物語りとか書くのも才能発揮しそうですね」

「ところでそんな天才な俺と付き合わない?」

「いや、ここまで来といて急にそれかい!初めて『さしすせそ』が言えそうだったのにそこでそれかい!自分の年齢と相手の年齢を見合わせてから口説けや!」

「え?」

私は失礼しましたと言っておかわりのドリンクを差し出した。
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