『お願いだから側にいて』~寂しいと言えない少女と孤独な救命医の出会い~
偶然の出会い
side 真理愛


2月14日。
街はバレンタイン一色でいつもよりもカップルの姿が多い気がするし、心なしか人々の表情もにこやかに見える。

思えば、クリスチャンでもないのにクリスマスにはケーキやチキンを食べて、大みそかには除夜の鐘を叩き、元旦には初詣に出かける。節分には豆をまきバレンタインデーが何の日かも知らずにチョコレートを買いあさっている。日本って本当に節操のない国だ。
でも、それが今の日本を作ってきた礎だとも思うし、何でもどん欲に受け入れる思考が豊かな国を作ったんだろう。

「すみません、受診の方ですか?」
受付カウンターの前でウロウロしていたら声をかけられてしまった。

「ぁ、はい」
「混んでいるので時間がかかると思いますが、よろしいですか?」

ここは街の総合病院。
県内屈指の規模を誇り、ドクターヘリの拠点病院にもなっているところ。
その分救急搬送だって多いはずだから患者さんが多いのはわかるけれど、わざわざここまで来るからには具合が悪いわけで、時間がかかるからと言われて諦める訳にもいかない。

「お願いします」
「では、あちらに申込書と問診がありますので記入してお持ちください」
「はい」

よほど忙しいのか、受付職員は事務的に言うと次の患者の対応を始める。
私は痛む足を引きずりながら移動し、用意してあった書類の記載を始めた。
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