高嶺の社長と恋の真似事―甘い一夜だけでは満たされない―
相手に私への想いがあるかどうかは関係ない。
私は、相手が誰であろうと、相手に私への気持ちがあろうとなかろうと、もう触れられるのが怖いんだ。まだ、治っていなかったんだ。
上条さんとの一回は、アルコールだとかそのときの気分だとか、色々が重なってうまくいっただけだ。
だって今、上条さんが相手なのに触れられるのが怖い。怖くて……逃げ出してしまいたくなる。
こんなこと、知りたくなかった。
気づきたくなんて、なかった。