高嶺の社長と恋の真似事―甘い一夜だけでは満たされない―


「なにか言え」と答えを急かしてくる上条さんに少し笑い、それから口を開く。

「嫉妬も、触れたいと思うのも、それは、私にだけですか?」
「そうだ」
「じゃあ、合格です。もう、きっと恋だと思います」

そう教えると、上条さんは目を細める。
そして、それを苦笑に変えて私の頭を軽く小突いた。

「恋愛下手で臆病なくせに、上から言うな」

私の方が上級者です、という言葉が、近づいてきた上条さんの唇に奪われる。

触れるだけの、じゃれ合っているようなキスを繰り返しながら、ふたりとも自然と笑みがこぼれていた。











FIN
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