高嶺の社長と恋の真似事―甘い一夜だけでは満たされない―


上条さんとは、彼の仕事終わりに待ち合わせることが多い。そうなると必然的に緑川さんが運転手としてついてくる。

もちろん、その後の動き方の予定によっては上条さんが車を出してくれることもあるけれど、三回に一度くらいの割合で緑川さとは顔を合わせる。

なので、緑川さんにコンタクトをとるのは問題なさそうだ。

話の切り出し方に少し悩むものの、桃ちゃんは気持ちを隠す様子はないし、そのまま伝えればいいのだろう。

「じゃあこれ。私の番号とID書いておいたから、機会ができたら渡してもらってもいい?」

桃ちゃんがすらすらと書いたメモを、しっかりと封筒に入れて渡してくる。
正直、桃ちゃんと緑川さんが恋仲になる想像はつかないけれど、親友の恋だ。応援したい。

「わかった」と笑顔で返事をし、封筒を大事にバッグにしまった。



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