エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
思い出の数だけ愛がある

優杏の思い出



我が家と片岡家との付き合いは長い。
秋本家の広大な土地の開発を任せたのが、煌斗さんのお父さん片岡宗一郎(かたおかそういちろう)さんの会社『片岡地所』だ。

片岡地所は次々に事業を拡げ、宅地の開発だけでなく日本各地の主だった都市の一等地にビルを建てて所有するほか、現在では海外にも投資するほどの大会社に成長している。

今でこそ企業の業績に詳しくなったけれど、子どもの頃はそんなことちっとも知らなかった。
片岡家は我が家に良く遊びに来る、親戚のような関係だと思っていたのだ。

片岡家は、子供の頃から仕事を体験させる教育方針だったらしい。
長男の郁杜(いくと)さんと次男の煌斗さんは、休日になると父親に現場まで連れられて来ていたそうだ。

ちょうど我が家の所有していた土地の開発時期でもあったので、
ふたりとも何度か我が家に来ていたが、そのうち郁杜さんは勉強が忙しいとかで
顔を見せなくなった。

でも煌斗さんは同い年の兄と仲良くなっていたので、しょっちゅう遊びに来るようになっていた。



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