クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
不器用な竜騎士
 ティメルが驚いたのは、あの北の砦にまで逃げていたデーセオが、夕方にはこの飛竜舎に戻ってきたことだった。
「早いお戻りですね」
 と、わざとそう声をかけると、デーセオは顔を歪ませる。

「新婚なのだから、さっさと帰れとあいつらから追い出された」

 ティメルは吹き出しそうになった。本当にこの上官の部下は優秀な者たちばかりだ。

「でしたら、屋敷に戻られた方がいいのではないですか?」
 ティメルが言うと、デーセオはじろりと視線を向けてくる。

「今日からここに泊まる」
 こことはすなわち竜騎士のための宿舎のこと。
「ああ、そうだ」
 上着の一番上のボタンを緩めながら、デーセオは思い出したように口を開く。
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