クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
最後の呪い
「おかえりなさい、で……、旦那様」
 恐らく彼女はデーセオの名前を呼ぼうとしてくれたのだろう。だが、他にも人がいることを思い出し、普段通りに声をかけたようだ。そういった些細なことも、可愛らしいと思えて、ついデーセオの顔は綻んでしまう。

「ただいま戻った。レーニス、早速で悪いが。いろいろと報告したいことがあるのだが、俺の執務室に来てくれ」

「承知いたしました。ですが、先にお召し物を」
 と、レーニスはデーセオの上着を預かりながらも、彼を私室にさりげなく誘導している。
「そうだな。先に着替えよう」

 そんな二人のやり取りを鉄仮面の下でニコニコと眺めているのが執事のジョナサンと侍女のサンドラの二人。この二人にかかればデーセオだって、たまったものではない。だから、レーニスの言葉には素直に従う。

「ええと、お帰りなさいませ。デーセオ様」

< 270 / 318 >

この作品をシェア

pagetop