内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました

 女性と悠は、そのまま連れ添いエレベーターへ向かう。

「美男美女……」

 独り言のようにつぶやくと、仲良くなった女性がこっそりと教えてくれた。

「副社長、あの女性と縁談があるらしいの」

 え?
「そう、なんですね」

 なるほど。悠は彼女と結婚するために経験をしたかったのかな。

 綺麗な人じゃないの。

 まったくショックじゃないと言えば嘘になるけれど、ホッとしたのも事実だ。

 これで私と悠との関係がはっきりできたから。

 私が欲しいのはあくまでも悠との間にできた子どもであって、悠じゃない。

 悠は理想的な女性と結婚しなきゃいけない。
 相手は神林家の御曹司にふさわしく、力になってくれるような素晴らしい人じゃなきゃ、私が許せない。

 その点、さっきの女性なら申し分ないね。

 さあ、今度こそ、悠にもう会わないようにしたほうがいいと伝えなくちゃ。

 もう練習は十分だ。

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