離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 ちゃんと避妊した上に排卵日でもなかったのに、たった一晩だけで芽生えた私と彼の子供。

 伝えるべきだと思うと同時に、これは智秋にとって非常にイレギュラーな事態だと不安になった。

 私たちは契約関係にあった。同じ家で一年間生活をともにしたが、ぬくもりを求めたのはあの夜だけ。

 それに智秋は老舗旅館たちばなを継ぐ若旦那だ。

 結婚を急かされるのが嫌だから契約結婚を提案したと言っていたが、いずれはきちんとした相手を見つけ、その女性と家庭を作る。

 それを思うと胸の奥がちりちり疼くも、事実なのだから見ない振りはできない。

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