暗い、安心する場所にあたしは横たわっていた。

 眠っているのか、起きているのか……。

 ううん、これは夢だ。


 そう理解すると同時に、自分の体の中に何かがあることに気づく。

 なんだろうと意識を向けると、それがいつだったか夢で愛良に似た女の子から貰った球体だと分かった。

 一部が欠けた球体。

 あたしの中に入って消えたと思ったけれど、形を保ったままそこにあったのか。

 でも、前に見たときよりも小さくなっている気がした。


 そういえば、これって何なのかな?


 そんな疑問を浮かべると同時に、意識も浮上した。

***


 土曜日、嘉輪のお父さんが来ると言っていた日。

 その日の寮は朝からお祭り騒ぎだった。


「波多さんのお父さんって事は純血種でしょう!?」
「滅茶苦茶カッコイイんじゃないの!?」

「あなたたち失礼よ!」
「そうだ! 純血種は吸血鬼にとって特別な存在なんだぞ!?」

 前半はH生、後半はV生と反応は少々違っていたけれど、騒がしいことに変わりはなかった。


「……嘉輪のお父さん、大人気だね?」
「……ホント、やめて欲しい」

 そろそろ来る時間だからって、寮の前で出迎えようと最上階から降りてきたあたし達。

 一階で永人と合流して、外に出たところで待っているんだけれど……。