幸いなことに、雨はすぐ止んで式は続行した。
式が終わり、隣に併設されているレストランに移動するゲストを見送っていると、「あっ!」と声を上げた陸が人混みをすり抜けて、私たちの前までやってきた。

「パパ、ママ見て! 虹が出てるよ! 大きいよ!」

「本当だ」

私と隼人は、その場に立ち止まって陸と一緒にワイキキビーチを眺める。
雨が降った後だからか、水面にかかるようにして見事な虹がはっきりと映し出されていた。

「ぼく、雨が大好きなの。雨が降った後にしか虹は見れないから」

「……うん」


陸の言葉に、なぜか涙が込み上げてきた。

雨の日の思い出は、最悪な出来事と重なって実は大嫌いだった。
――でも、あの土砂降りのような出来事がなければこうして今の幸せな未来はなかったのかもしれない。雨の後にしか、虹が現れないように。

とその時、ギュッと大きな手に右手を強く握られた。

「朱莉、スタッフさんが呼んでるから急ごう。陸もばぁあとちゃんと待ってるんだよ」

「うん! 分かった」

隼人に手を引かれて、歩き出す。
しっかりと握られたその手を見つめながら、私はこっそりと涙をぬぐった。

「……俺も雨は好きだよ。朱莉との大事な思い出はずっと雨と一緒にあるだろ」

「え?」

「それに、一緒に傘に入る口実も出来たしな」

いたずらっぽく振り返った隼人につられて、私も思わず笑みをこぼした。