次の瞬間には、景色が変わっていた。
ぼんやりと見える車のナンバー、あらぬ方向に曲がったママチャリ。
それらがとても遠い場所に見えるのだ。

(あ、私……これから死ぬんだ)

そう感じとってすぐに、景色がフェードアウトし目の前は真っ暗になった。
意識が朦朧とする。体が痛いのか、痛くないのかも分からない。

「ごめん、隼人(はやと)……陸を……」

声になったのか定かじゃないけれど、私の口は勝手にそう動く。
六月十日、今日は皮肉にも彼と最後に会った日。
五年前も、私は一人きりでこの優しい雨に打たれていた――。