イケメンを好きになってはイケません⁈
第7章 失恋ショック【海斗サイド】
 とっくに9階に着いていたのに気づかず、そのまま1階まで降りてしまった。

 部屋に帰る気が失せ、おれは表に出た。

 道路前にある植え込みのレンガに腰を下ろし、しばらくぼーっとする。

 あまりにもまぬけな話で、自分でも呆れる。
 杉本さんに彼氏がいるなんて、まったく考えていなかったのだから。

 能天気にも、好きだと告白すれば、当然うまくいくものだと疑っていなかった。

 会社での目立たない彼女の姿に捉われすぎていたってことか。

 結局、おれも他の連中と変わんないってことだ。

 彼氏なんているはずないって、そんな色眼鏡を通して、彼女を見ていたのだから。
< 58 / 119 >

この作品をシェア

pagetop