【完結】私、実はサレ妻でした。

【不倫旅行と決定的証拠】



 それから数日経った頃、夫からこんなことを言われた。

「実乃梨、話があるんだ」

「……話?」
 
 その話がいっそ【離婚】ならいいのにと、心のどこかで思ってしまう自分がいたのも確かだった。

「ああ。 実は来週の月曜から、出張が入ったんだ」

「出張……?そうなんだ」

 夫は普段商品開発部で新作商品の開発などを手掛けているけど、出張なんて初めてだった。
 正直に言うと、その【出張】というのも怪しいと思って疑ってしまうのだけど。  
 
「一泊二日の出張なんだけどさ、部長の付添いで行くことになったんだ」

「へぇ……。そうなんだ、すごいね」

 と言ってはみたものの、本当に出張なのか怪しい所だ。

「すまない。子供たちを預けるみたいになっちゃって」

「別に、出張なら仕方ないし。……気にしなくていいから、そんなの」

 夫と私の仲は、周りから見ればそんなに悪い訳ではなかった。仲の良い夫婦に見えていたのか、私たちはラブラブだと言われていた。
 子供たちもみんな仲良くて、理想の家族だった。

「実乃梨……ありがとう」

 夫はそんな私を、そっと抱き寄せる。

「実乃梨が俺の妻で、本当に良かったよ。……俺には実乃梨だけだよ」

 そんな甘い言葉を囁かれても、私は惑わされたりなんてしない。
 あなたが付いている本当のウソを、私は知っているからーーー。
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