俺の世界には、君さえいればいい。
*優先順位は大切に*




「ねぇ、手つないでたらしいよ?」


「私は抱きしめ合ってたって聞いたよ?」


「え~!うそ!相手はB組の由比さんでしょ?」



次の日。

やっぱりだった、このまま帰ろうかと思ったくらいだった。


電車の中で顔を合わせた同じ高校の女子生徒が妙にチラチラ見てきたかと思えば…。

昇降口に入ってから廊下を渡って階段を上がって、もうずっとずっと噂が立ってしまってて。



「櫻井くんだよ?てか本当の本当に櫻井くんだったの…?」


「うん、逆に間違えるほうが珍しくない?」


「…そうだけどさぁ…」



そしてみんな口を揃えて言うのです。


剣道部絶対的エースの人気者、1年A組櫻井 主計と一緒に帰宅していた女子生徒が。

1年B組に居るか居ないか分からないくらい地味な由比 かなのだと分かると。



「相手は由比さんだよ?ないない、ありえないね」


「うんうん、それだけはないわー」


「それって逆に由比さんに対する嫌がらせじゃないの?由比さんが可哀想だよねそれ」



心配はご無用だったみたいです。

私だと分かると、みんなして首を横に振ってくれる。



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