跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
報告は迅速に!
妊娠に伴って、今後はいろいろと配慮してもらう必要が出てくるため、安定期に入るのはまだ先だが、社長である父に報告すると決めた。

早退した翌日、加藤のギャラリーに千秋さんを伴って出勤する。わずかに緊張する私を見降ろしながらくすりと笑った千秋さんが、腰に手を回して抱き寄せてくる。きっと、気楽にしてろという意味なのだろう。

父には時間を作ってくれるようにあらかじめ連絡してあり、事務室へ行くとすでにソファーに座って待ちかまえていた。

「――それでね、妊娠してるのがわかったの」

挨拶もそこそこに報告すると、一瞬ぽかんとした父は次の瞬間に満面の笑みを浮かべた。

「そ、そうか。そうか、そうか。愛佳に赤ちゃんが……」

驚きでうろたえる父に、相変わらずだなあと苦笑する。

「今のところ、つわりは夕方に少し気持ち悪くなるぐらいで、そこまでひどくはないの。でも、今後はどうなるかわからなくて……」

「お義父さん。立ち仕事からは外してやってください」

そこに千秋さんが、夫として口を挟む。

「もちろんだよ。辛いときは休めばいいし、在宅での仕事に切り替えてもかまわない。ああそうだ、母さんにも伝えてやらないと……」

すっかり落ち着きをなくした父は、せわしなく手をすり合わせている。もう少しどっしりかまえていて欲しいが、喜んでくれているのはちゃんと伝わってくるから指摘はしない。

「千秋君。これからも愛佳をよろしくお願いします」

「もちろんです」

< 164 / 174 >

この作品をシェア

pagetop