――ジュワァァアアッ。

 なんとか仕事に折り合いをつけ、一年ぶりに帰省したわたしを出迎えたのは、仲睦まじい両親に飼いネコのルル。そして、ママの手に握られたグリルパンの上で魅惑的な焼き音を立てる最上級のステーキだった。
『さぁ、焼けたわよ。月乃ちゃんはしっかり目のウェルダン。パパはレアで、ママはミディアム。焼き加減もバッチリよ』
 ママが対面のキッチンカウンターから熱々のステーキがのったお皿を差し出す。
『うわぁ~、美味しそう! このお肉どうしたの?』
 お皿を受け取ったわたしは、見るからにおいしそうなお肉に感嘆の声をあげた。
 そうして、さっそく各々の好みの加減に焼き上がったステーキをダイニングテーブルに並べだした。
『ふふふっ。月乃ちゃんが久しぶりに帰ってくるからってパパが買ってきたのよ』
『え! パパってばそんなに気を遣わないで、いつも通りでよかったのに』
『なに。たまたまデパートに行ったら、いい肉があったんだ』