絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 そんなことをぼんやりと考えながら、わたしはあれよあれよという間に森の端まで運ばれて、まるでゴミでも放るみたいにポイッと捨てられた。
《みゅあっ(い、痛いっ!!)》
 したたかに背中を打ち付けて、その衝撃で目の前がチカチカした。
《ニャーォ(よし、ここまで運べば戻ってこられないだろう。あばよ、クズ!)》
《ニャァー(達者で暮らせよ。とはいえ、到底ひとりで暮らしていけるとは思えないがな)》
《ニャーァ(ハハハハッ。まぁ、どっちにせよ俺たちは役立たずがいなくなってせいせいしたけどな)》
《ニャーォ(言えてらぁ)》
 朦朧とする意識の中、段々とヤマネコたちの意地悪な嘲笑と気配が遠ざかっていく。
 ぶつけた背中とずっと噛まれていた首の痛み。さらには、今後への不安や恐怖。いっぱいの悲しみで胸が詰まり、目尻からポロポロと涙がこぼれた。
 ついに気力体力が限界に達し、フッと意識が途切れる。その直前、前世の月乃が大好きだったパパによく似た逞しい腕に、宝物でも扱うような丁寧さで抱き上げられるのを感じた。
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