燦々と降り注ぐ陽光が大地を照らし、吹き抜けていく風が心地よく頬を撫でる。
 緑豊かな田舎道を駆りながら、俺は愛馬の上で胸いっぱいに清涼な空気を取り込んだ。
 カインザー王国騎士団の団長を務める俺は、現在隣国スブレ共和国との軍事会談を終え、少数精鋭の部隊を引き連れて帰路を進んでいた。
「レリウス様、幾ら最短ルートになるとはいっても、〝魔窟の森〟をショートカットしようなんて正気ですか?」
 馬を並走していた副官のユーグが前方に聳え立つ森を見上げ、疑心暗鬼に眉を寄せながら口にした。
「思いの外会談に時間がかかってしまったからな、道程の遅れを取り戻すにはここの横断がもっとも効率的だ。それにしても、まさかお前が〝魔窟の森〟などという迷信を真に受け、及び腰になっていようとはな」
「いやいやいや、この森に尻込みするのは私だけじゃないですから……」
「ん?」
 ユーグがチラリとうしろに視線をやるので、俺もつられて後方へ首を巡らせる。